新聞販売店が抱える問題の1つとしてあげられるのが『押し紙』です。今回はこの新聞販売店が抱える押し紙についての問題を記事にしてみることにしました。
この記事ではこんなことを書いています
・押し紙とは何か?
・押し紙を受ける販売店の現状
・押し紙に対する朝日新聞社の施策
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目次
そもそも新聞販売店が受けている押し紙とは何か?

新聞社は販売部数拡大と発行部数に比例して広告収入が決定されるため、広告費収入の維持・増益を目的として、しばしば「目標数○○万部」などと契約上の優越的地位を利用して過大なノルマを販売店に課すことがある。これらは販売しなければならない新聞を販売店に押しつけている形になっていることから、「押し紙」と呼ばれている。なお、押し紙制度は新聞社の販売部局に長く在籍した飯田真也(朝日新聞代表取締役会長)が作り出したといわれる。
引用:Wikipedia

この押し紙の比率は新聞販売店の規模にもよりますが、概ね朝日30%、読売40%、日経20%、産経26%、毎日74%と言うデータがあるようです、しかしこれはあくまで目安にすぎません。
販売店の予算部数に応じてノルマが達成出来なければ、その分勝手に新聞が送られてくるため、販売店の経営に大きな影響を与えています。
押し紙は独占禁止法にあたる
販売店は新聞社に対して従属的な立場にあり要求を拒めば販売店契約の解除を暗にほのめかされるなど不利な状況に追い込まれるため、「押し紙」を所謂自爆営業で受け入れざるを得ない。新聞社は販売店に「押し付けた」時点で利益を計上することができるが、販売店は売れ残った新聞の代金も新聞社に一方的に支払い続けなければならない。
こういった行為は独占禁止法に抵触する。2016年には、参議院経済産業委員会で、山田明典公正取引委員会審査局長が、朝日新聞社による販売店に対する新聞の販売方法に関し、公正取引委員会から注意を行ったことを明らかにした。
引用:Wikipedia
こういった押し紙という制度は独占禁止法にあたるとされています。
毎月新聞(買わなくても良い新聞)が送られてくる。しかしこの新聞社からの要求が飲めないと販売店として不利な状況に立たされるなど、販売店はサンドイッチ状態なわけです。
お店によってはこちらから注文もしていないのに、勝手に新聞社から新聞が送られてくるということもしばしばあります。
私のお店でも実際に主要日刊紙が増紙できなくなったため、それに伴う関係諸紙などをわずか5〜10部程度勝手に送りつけてくることもしばしばある。セコいなあと思う。
こんな現状が今でも続いているお店はまだまだあるだろうと思う。
販売店が潰れた場合、今勤めている従業員を露頭に迷わすことになるため店舗の経営者はこの押し紙を切りたくてしょうがない訳です。
しかし新聞社と販売店は完全な主従関係にあるため、販売店は逆らえないという状況になっている。
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新聞販売店における押し紙問題の現状【押し紙は悪いことだけではないが......】

新聞販売店の収入源は『新聞の購読料』と『広告費』で成り立っています。
この『広告費』(チラシ)というのは新聞販売店が実際に購読している読者に配達している新聞の部数で増減がされています。
広告主からしてみると、新聞を購読している読者が多い販売店にチラシを沢山配達してもらった方が『宣伝』としての影響力というのは大きいため、必然と読者が多い販売店にチラシが流れるようになっています。
しかし昨今の新聞販売店の現状としては読者の無読化が大きくなり、広告費で得られる収入はどんどん減っています。
このような場合、実は『押し紙』というのは実は有効だったりします。いわゆる取紙が多い販売店の方が広告(チラシ)収入が多くなるからです。

朝日新聞が行っている『自由増減』について
ここまで押し紙が悪いことだけではないということをお話ししましたが、新聞販売店の押し紙の現状はどうなっているのか?
朝日新聞は現在『自由増減』というスタイルで、いわゆる販売店が新聞社から取り寄せる新聞の部数を販売店側が自由に調整できるようになっている。
というか、朝日新聞以外でも『自由増減』というのは行っているということにはなっているが、実際に行っているのは『朝日新聞』だけという現状だ。
これは販売店側が余分にとっている新聞を切る(取り寄せる必要が無くなる)ので、メリットが大きいように思えるが、実際はそうではない。
朝日新聞社は販売店に沢山新聞を買ってくれたらある程度の金銭的な補助を行っている。
これが今まで押し紙として取り寄せている新聞を全て切った場合、補助金が無くなるという訳だ。販売店は押し紙の購読料分を新聞社に納めていたが、この補助金があるからある程度経営的にバランスが取れている。
しかし販売店は経営は先ほどもお話しした通り、新聞の購読料よりも『広告費』で賄っている面が大きい、そのため安易に新聞を切ってしまうと自店の広告収入が大きく目減りすることになる。
そのため簡単に押し紙を切ってしまうというのができない状態な訳です。
また新聞社のプライドなどを守るための施策とも言える。朝日新聞は全国的に見ても新聞のシェア率は全国2位、このメンツを守るためにもある程度の部数維持というのは欠かせない訳です。
新聞が減れば、新聞を作るためのお金だったり、記者にかける取材費だったり色々なことにかけるお金が減ってしまうんです。
新聞社の事情というのもよくわかります。そのため朝日新聞社が行っている『自由増減』というのは案外しょうがないと言えるのかもしれません。
2019年の新聞販売店の押し紙についてのまとめ
ここまで押し紙についてある程度お話しして参りました。
押し紙は悪いということだけではないのかもしれませんが、現状新聞販売店の経営に大打撃を与えていることは間違いありません。
しかし販売店の上にたつ新聞社が潰れてしまっては元も子もないというわけでして、ある程度は新聞社の事情というのを飲み込まなければならないという側面も持っています。
押し紙の新聞販売店が経営難に立たされてしまい、販売店がどんどん潰れていくというケースもよくある話です。
理想を言えば押し紙を失くし、広告収入を現状維持させるか増やすという方向性に持っていくことができれば理想です。今後新聞販売店はこの押し紙とどのように付き合っていくべきか?
課題はまだまだ山積みである。