この間、新聞配達の仕事をしていて初めて購読者の遺体現場と遭遇した。
新聞配達のお仕事をしていると多かれ少なかれこういった状況に出会すことはあると先輩社員から伺ってはいましたが、実際現場に出会すと言葉を失った。
私自身も実際に人間の遺体を目にしたことはありますが、それはあくまで親族のなどの葬儀の場での話です。実際に目の前で親族以外の人間が亡くなっている姿を目にするのは初めての経験でした。
昨今の日本では孤独死などがニュースやメディアなどで取り上げられるようになり、新聞を購読している読者が亡くなっているということも今となってはあまり珍しくもないかと思います。
この記事では実際に発見に至るまでの経緯や流れ、その後の対応や警察の方々にお話しいただいた内容などを限りなくリアルにお伝えしていきます。もちろんプライバシー保護の観点から実際にお亡くなりになられた購読者の個人情報などの公開は差し控えさせていただきます。
この記事を読んで実際に新聞配達のお仕事に従事されている方々や、ご親族の方で新聞を購読している方々へ少しでも参考になりお役に立てれば幸いです。
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目次
遺体発見に至るまでの経緯と流れ【新聞配達中ではなかった】
引用:https://archive.tetsupara.net/archives/94
遺体を発見したのは、新聞を配っている最中ではありませんでした。
1週間程前でしょうか?新聞がポストへ溜まり出し、しまいにはポストへ投函することが難しくなったため最初はどこかへ長期で出かけているのかな?少し気になってはいました。
流石に入りきらないので購読者と電話で連絡をとってみることに。

この方は自宅の固定電話だけしか新聞販売店のデータベースに登録されていなかったため、連絡をとる手段が固定電話しかなかったのです。
これが携帯電話であれば、自宅にいなくても直で連絡をとることができたんですが、それができないため直接ご自宅へ伺ってみることにしました。
加えて新聞購読料を集金ではなく、口座振替でお支払いいただいてた方だったので直接お会いする機会がありませんでした。
いつも正面の入り口に鍵がかかっており、昼間は鍵をかけていないのですが私が伺ったのが夜18時半頃だったため普通に鍵がかかっていました。
いつものことだろうと思い、玄関付近の様子を生垣の上から少し覗いて見たんですが......。



おかしいな......在宅しているのかあ??と思いつつも、新聞の溜まり方が尋常じゃなかったのでなんか様子が変だぞ?と思いました。
しかし正面の入り口は鍵がかかっているし、普通に入ることはできない。これで生垣を乗り越えて中に入ろうもんなら不法進入だとか近所の人に言われて警察に通報されかねないと思って困った私は、とりあえず裏口に回ってみることに。
裏口に回ってみると、横にスライドするタイプの古いドアがありました。
しかし少し半開きになっている?何故??と思いつつもドアに手をかけたら普通に開いたので入り口からお客様の名前を読んでみることに。

反応は無い......。
寝ているのか??と思いさらに大きい声で呼びかけてみた。

近所に聞こえるんじゃないかってくらい大きな声で呼んだと思います。新聞購読者のほとんどは高齢者で耳が遠い人が多いのですが、この亡くなった方は中年の男性です。ましてすごい歳がいった方ではなかったのでこれだけ大きな声で呼んで聞こえないなんてことはないだろうと思い少し嫌な感じはしてました。

恐る恐る中に入ってみると中はホラーかってくらい真っ暗でした。(イメージとしては廃屋の中を夜中に歩いている感じ)
あまりに暗いので携帯の明かりをつけて進んでいくことに......。
ドア一枚を塞ぐようにのれんみたいな布がかかっていたので、それを掻い潜り進んでいくと和室のような場所にでました。
和室の奥のドアからテレビの音が聞こえたため『そこか......』と思いドアの前へ。

ここでも応答無し......。
意を決してドアを開けてみると、炬燵の前でうつ伏せに倒れている人がいました。
これが発見に至るまでの経緯と流れです。
遺体発見後の印象とその後の対応
普通遺体を発見した際に、生存しているかどうか確認をするべきだと思いますが、なんと言えば良いでしょうか......。
体が青白く変色しており明らかに亡くなっている......とすぐにわかりました。
その後、私は真っ先に110番!!では無く100M先の交番に駆け込みました。

と言うと警察の人もすぐさま対応してくれました。
交番に駆け込んだ私は、職業、年齢、連絡先、当時の状況などを色々聞かれましたが、その場にいた警察の方がはとても親切に対応してくれました。毎朝その交番に新聞を配っているのも私だったため、覚えてくれている方もいた。
第一発見者だったため警察立ち合いの元、実際に現場でもう少し詳しくお話しを聞かせてもらいたいとのことだったので、再度現場に戻ることに。
警察官の方々は靴の上からビニールを履いたり、手袋や頭を隠すようなもので準備をしたのち、私に実際に亡くなっている方のいる部屋まで案内して欲しいと言われたので、案内しました。
その後は担当の警察官の人が来るまで、家の外で待機。
救急隊の方々や警察車両などが近くに止まったせいか、現場は物々しい雰囲気になり、段々と近所の方まで出てくる始末。
救急隊の方々も中に入って出てこられたあとは、『AEDなどの処置は試みましたが......』と言っていましたが、時すでに遅しといった様子でした。
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新聞配達に携わる全ての人に知って欲しい【遺体現場に出会した時に気をつけるべきこと】
警察の方が中で現場検証などを行っている際に、外にいた女性の警察官に色々お話しを聞くことができました。
こう言った状況に出会した時に普通なら真っ先に救急車を呼ぶべきだろうが、ほとんどの人は真っ先に『警察』が頭に思い浮かぶ人が多いそうです。なので決して私が間違ったことをした訳では無いと言われました。
まして私が今回初めての経験だったこともあり、かなり動揺してしまってたこともありましたが、できるなら『110番』と『救急車』をその場で呼んで欲しいとのことでした。
しかしこの記事を読んでいる全ての方にお伝えしたいのはここからです。
こう言ったケースの多くは夏場に集中するそうですが、エアコンが室内で作動しているかどうかの確認が取れれば尚良いとのこと。
何故かと言うと、遺体の多くは発見されるまでに時間がかかるケースが多くエアコンなどが作動している状態だと遺体の腐敗が進むスピードも違うそうで、腐敗した遺体から細菌やらウィルスやらがエアコンによって室内に拡散されてしまうことがあり非常に危険だとのことでした。
それともう1つ、亡くなっている場合は直接身体に触れないこと!
昨今新型コロナウィルスの影響があり、実際にこういった孤独死などの現場で亡くなった方の遺体をPCR検査にかけたりすると感染が判明したと言うケースがあるそうで、万が一第一発見者が遺体に触れてしまうと二次感染を引き起こす可能性があるからです。
では亡くなっていない人の場合はどうか?
この場合以下の点に注意し、対処してほしいと言われました。
注意ポイント
・室内の換気を行う(エアコンを止め、窓を開ける)
・大人であれば人工呼吸は行わず、可能であれば子供の場合は人工呼吸を行う
・手袋やビニール袋などを活用し、直接身体に触れないようにすること
・感染予防で活用できる物があれば使うこと
・マスクは必ず着用すること
・AEDなどは今まで同様変わらない
新聞配達のお仕事をしていても、まず頻繁にこのようなケースに出会すことはまず無いと思いすが、現状新型コロナウィルスが蔓延しているこのような状況だからこそ、臨機応変な対応が求められてくると思います。
必要な対策を知っているかどうかでその後の状況などは大きく変わり、人1人の命を救う結果に繋がると思いますので、覚えておきましょう。
なのでここまでをまとめると......
目の前の人が明らかに亡くなっている場合は『110番』『救急車』を呼ぶ!
そうでない場合は上記のような延命措置をとる!
と言った感じですね。
新聞購読者の7割は高齢者【必要な対策の一貫として購読しているケースも】
日本全国の新聞を購読している読者の7割は高齢者です。その中にはお一人住まいで新聞を購読している高齢者がたくさんいます。
私が購読料の集金などで実際に購読者のご自宅へ伺った際に、なんでお爺ちゃんは『新聞を読んでいるの?』と聞いたことがあります。
すると中には『私には身内と呼べる人がいないから、万が一部屋ん中で私が亡くなった場合見つけてもらえる人が新聞屋さんだけだと思うから』と言ってくる人がいます。
なんとも寂しいお言葉と言えばそれまでなのですが、少し納得してしまう自分もいました。
新聞その物を読みたいからとっているわけでは無く、必要な対策の一貫として新聞を購読していると言う訳です。実際にこう言う人は結構います。
世間一般からすると新聞屋さんって営業がしつこくて......なんて思われる方もいると思いますが、単身でお一人住まいの高齢者からしたら必要だから新聞をとっていると言うわけです。
高齢者にはキャッシュレス決済が勧めづらい【必要な対策が求められる】
少し最近の新聞販売店の実情をお話ししますと、新型コロナウィルスが流行り出してからと言う物、感染予防の必要な対策の一貫としてお客様に集金と言う形で購読料をお支払いしてもらうのでは無く、口座振替やクレジットカードでお支払いをしていただけるようにとお願いしています。
あくまでお願いと言う形であって、強制ではありません。
言うまでも無く理由はお察しいただけると思いますが、物理的に金銭のやりとりなどが生じてしまうとお客様のみならず販売店スタッフなどにも感染が広がってしまうことがあるからです。
実際に私が務める販売店の全購読者の約5割はこう言ったキャッシュレス決済を利用しています。
しかし、『亡くなってから見つけてもらうため......』という理由で新聞を購読しているケースはどうか?こちらもキャッシュレス決済を勧めるにはなんとなく気が引けてしまいます。
お客様の立場になってみるとその気持ちはわからなくも無いのですが、キャッシュレス決済を勧めづらいのです。
ご購読者の方が、孤立しないように近所の方に声かけをし地域との繋がりをこちらから促すとか、キャッシュレス決済を勧めるにしてもその他に必要な対策は求められてくるように思えますね。
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遺体の第一発見者になった私が語る新聞配達のお仕事についてのまとめ
新聞販売店スタッフの1人として、ご購読者の方が亡くなられたということは心が痛みます。
新聞販売店は新聞を配って購読料を回収するだけと思う方もいますが、ボランティア活動の一貫としていろんなことを行っています。販売店によっても様々かもしれませんが、今回お話ししたことも含め地域との繋がりということを考えればこそ必要な仕事ではないでしょうか?
最近は読者離れが深刻ですよね?
新聞を読む方の多くはアナログ思考な方々が多いです。デジタル化が進む昨今では新聞の必要性という物が疑問視されてきてますが、物事をいろんな方面から多角的に捉えていくと、まだまだ私たち新聞販売店が地域の方々へできることはあると思うのです。
今回亡くなられた読者の方には大変貴重な経験をさせていただいました。ご冥福をお祈りしたいと思います。
そしてまたこのようなことがあった時にのために、今後の仕事へ生かして行きたいと思います。